
中絶をめぐる長い長い1日
「4ヶ月、3週と2日」(2007年、ルーマニア)
4カ月を経過してしまうと、母体にかかるリスクが大きくなるため、できればそれよりもっと早い段階に処置を行う方が望ましい。何の話か?人工妊娠中絶の話。
ということは、「4ヶ月、3週と2日」たってしまうとかなり厳しい。しかもそれが、中絶の禁止されている1987年ルーマニアでの話だとしたら、状況はかなり絶望的だ。この映画は、そんな環境で人工中絶をしようとするルームメートを、親身になって手助けしようとする女性の、長い長い1日を描いた作品。
画面が揺れたり、しゃべっている人物の顔が画面からはみ出していたり、まるでホームビデオを見ているみたいだけれど、それがかえってリアリティーを生んでいて、違法中絶をしようとしている主人公たちと、秘密の共有をしたような気持ちになる。
人工中絶の良しあしについて語る作品ではない。違法中絶、という重いテーマを決して寓話(ぐうわ)的にならずにリアルに描き切ったこの作品は、問題提起とも、啓蒙(けいもう)とも違う新しい映画の可能性を示しているように思える。ルーマニア映画っていう珍しさきっかけで全然構わないから、4ヶ月、3週と2日をぜひ見に行ってください。
劇団「非・売れ線系ビーナス」主宰・田坂哲郎)
▽3月8日からシネテリエ天神などで上映
▽4ヶ月、3週と2日 公式サイト http://www.432film.jp
4ヶ月、3週と2日 受賞一覧
カンヌ国際映画祭 国際映画批評家連盟賞受賞
カンヌ国際映画祭 フランス国民教育省賞受賞
ヨーロッパ映画賞 <作品賞><監督賞> W受賞
ロサンゼルス映画批評家協会賞 <最優秀外国語映画賞><助演男優賞> W受賞
シカゴ映画批評家協会賞 <最優秀外国語映画賞>受賞
ハリウッドフィルム映画祭 ハリウッドワールド賞受賞
サン・セバスチャン国際映画祭 国際映画批評家連盟賞受賞
ストックホルム映画祭 <作品賞><主演女優賞> W受賞
ナショナル・ボード・オブ・レビュー 外国語映画トップ5
ゴールデン・グローブ賞 <外国語映画賞>ノミネート
インディペンデント・スピリット賞<外国語映画賞>ノミネート
ブロードキャスト映画批評家協会賞<外国語映画賞>ノミネート
ロンドン映画批評家協会賞 <外国語映画賞><監督賞><主演女優賞>
3部門ノミネート
4ヶ月、3週と2日 出品歴
トランシルヴァニア国際映画祭正式出品
カルロヴィ・ヴァリ映画祭正式出品
シネマニラ国際映画祭正式出品
トロント国際映画祭正式出品
ニューヨーク映画祭正式出品
レイキャビク国際映画祭正式出品
釜山国際映画祭正式出品
シカゴ国際映画祭正式出品
テルライド映画祭正式出品